☆徒然草 第五十二段 「仁和寺(にんなじ)にある法師」 兼好(けんかう)法師 本文と現代語訳と品詞分解: 『大学受験古文』

2014年01月12日

☆徒然草 第五十二段 「仁和寺(にんなじ)にある法師」 兼好(けんかう)法師 本文と現代語訳と品詞分解

今回は、兼好法師の徒然草より「仁和寺にある法師」をご紹介します。

ある僧侶が、念願を果たすべく思い立ち、人々に篤く信仰されていた石清水八幡宮に一人でお参りに行きました。

実はその石清水八幡宮の御本殿は男山の山上にあったのですが、末寺の極楽寺や、末社の高良社などをそれと勘違いして拝み、僧侶は満足して帰ってしまったんですね。

みんなが登っていった山には目もくれず、本来の目的からそれずに立派に帰って来たつもりが、実はその山にこそ御本殿があったわけです。

そして、最後の一文は、兼好法師のつぶやきですね。

些細なことでも、そのことに詳しい案内してくれるような人がいてほしいことだなあ。



次項有それでは、本文と現代語訳と品詞分解です。




■原文

仁和寺にある法師、年寄るまで石清水(いわしみづ)を拝まざりければ、心憂くおぼえて、
あるとき思ひ立ちて、ただ一人徒歩(かち)よりまうでけり。

極楽寺、高良(かうら)などを拝みて、かばかりと心得て、帰りにけり。

さて、かたへの人に会ひて、
「年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに、山へ登りしは、何事かありけむ。ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意(ほい)なれと思ひて、山までは見ず。」
とぞ言ひける。

少しのことにも、先達(せんだつ)はあらまほしきことなり。



■現代語訳

仁和寺にいる法師が、年をとるまで石清水八幡宮に参拝していなかったので、情けなく思われて、あるとき思い立って、たった一人歩いて参詣した。

極楽寺、高良社などを参拝して、これだけだと思い込んで、帰ってしまった。

そうして、仲間の人に会って、
「長年思っていたこと(念願)を果たしました。聞いていたのにもまして、尊くていらっしゃった。それにしても、お参りに来ていた人が皆、山(男山)へ登ったのは、どんなことがあったのだろうか。知りたかったけれど、神(八幡様)に参拝するのが本来の目的だと思って、山までは見ませんでした。」
と言ったそうだ。

ちょっとしたことにも、案内者はいてほしいことである。



■品詞分解(本文・現代語訳・品詞分解)

podcastでは、■品詞分解の箇所(本文と現代語訳と品詞分解)を読み上げているので、聞きながら勉強してみてくださいね。



仁和寺にある法師.mp3



仁和寺にある法師、
⇒仁和寺にいる法師が、
「ある」:動詞ラ行変格活用「あり」の連体形

年寄るまで石清水(いわしみづ)を拝まざりければ、
⇒年をとるまで石清水八幡宮に参拝していなかったので、
「寄る」:動詞ラ行四段活用「寄る」の連体形
「ざり」:打消の助動詞「ず」の連用形
「けれ」:過去の助動詞「けり」の已然形
「ば」:原因・理由を表す接続助詞 ※已然形接続は順接の確定条件「〜ので・から、〜すると・したところ」

心憂くおぼえて、
⇒情けなく思われて、
「心憂く」:形容詞ク活用「心憂し」の連用形  ※「つらい・情けない・嘆かわしい」
「おぼえ」:動詞ヤ行下二段活用「おぼゆ」の連用形  ※「自然に思われる・感じる」自発の意味が含まれる
「て」:接続助詞

あるとき思ひ立ちて、ただ一人徒歩(かち)よりまうでけり。
⇒あるとき思い立って、たった一人歩いて参詣した。
「思ひ立ち」:動詞タ行四段活用「思ひ立つ」の連用形
「て」:接続助詞
「より」:手段・方法を表す格助詞
「まうで」:動詞ダ行下二段活用「まうづ」の連用形 ※「初詣(はつもうで)」の「もうで」はこの名詞形
「けり」:過去の助動詞「けり」の終止形

極楽寺、高良(かうら)などを拝みて、かばかりと心得て、帰りにけり。
⇒極楽寺、高良社などを参拝して、これだけだと思い込んで、帰ってしまった。
「心得(こころえ)」:動詞ア行下二段活用「心得(こころう)」の連用形 ※ア行の動詞は「得(う)」一語だけ。
「帰り」:ラ行四段活用「帰る」の連用形
「に」:完了の助動詞「ぬ」の連用形 ※「〜にけり」の「に」は完了
「けり」:過去の助動詞「けり」の終止形

さて、かたへの人に会ひて、
⇒そうして、仲間の人に会って、
「会ひ」:動詞ハ行四段活用連用形
「て」:接続助詞

「年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。
⇒長年思っていたこと(念願)を果たしました。
「思ひ」:動詞ハ行四段活用「思ふ」の連用形
「つる」:完了の助動詞「つ」の連体形
「果たし」:動詞サ行四段活用「果たす」の連用形
「はべり」:動詞ラ行変格活用「はべり」の連用形 ※丁寧語の補助動詞「〜です・ます・ございます」の意味
「ぬ」:完了の助動詞「ぬ」の終止形

聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。
⇒聞いていたのにもまして、尊くていらっしゃった。
「聞き」:動詞カ行四段活用「聞く」の連用形
「し」:過去の助動詞「き」の連体形
「過ぎ」:動詞ガ行上二段活用「過ぐ」の連用形
「て」:接続助詞
「尊く」:形容詞ク活用「尊し」の連用形
「こそ」:係助詞
「おはし」:動詞サ行変格活用「おはす」の連用形
「けれ」:過去の助動詞「けり」の已然形 ※係り結び。「こそ」を受けて已然形。

そも、参りたる人ごとに、山へ登りしは、何事かありけむ。
⇒それにしても、お参りに来ていた人が皆、山(男山)へ登ったのは、どんなことがあったのだろうか。
「参り」:動詞ラ行四段活用「参る」の連用形
「たる」:存続の助動詞「たり」の連体形
「登り」:動詞ラ行四段活用「登る」の連用形
「し」:過去の助動詞「き」の連体形
「か」:疑問を表す係助詞
「あり」:動詞ラ行変格活用「あり」の連用形
「けむ」:過去の推量の助動詞「けむ」の連体形 ※係り結び。「か」を受けて連体形。

ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意(ほい)なれと思ひて、山までは見ず。
⇒知りたかったけれど、神(八幡様)に参拝するのが本来の目的だと思って、山までは見ませんでした。
「ゆかしかり」:形容詞シク活用「ゆかし」の連用形  ※「見たい・知りたい・聞きたい」心がそちら方向に行きたがっているイメージ
「しか」:過去の助動詞「き」の已然形
「ど」:逆接の接続助詞

とぞ言ひける。
⇒と言ったそうだ。
「と」:引用の格助詞
「ぞ」:係助詞
「言ひ」:動詞ハ行四段活用「言ふ」の連用形
「ける」:過去の助動詞「けり」の連体形 ※係り結び。「ぞ」を受けて連体形。

少しのことにも、先達(せんだつ)はあらまほしきことなり。
⇒ちょっとしたことにも、案内者はいてほしいことである。
「あらまほしき」:形容詞シク活用「あらまほし」の連体形
「なり」:断定の助動詞「なり」の終止形





この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック




×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。